
2026年から2027年にかけて社会保険の仕組みは大きく変わります。パート・アルバイトで働く人も含めて「手取りがどう変わるのか」を左右する制度改正も控えています。鳥取県・島根県で就職や転職、Uターン・Iターンを考えている人にとっても他人事ではない話です。今回は社会保険の基本から、これから変わるポイントまで、まとめて整理して見てみましょう。
そもそも社会保険って何?
社会保険には、転職のタイミング次第で保険料が二重に引かれてしまうことがあるなど、「知らないと損」な話も意外とたくさんあります。まずは基本からおさらいしていきましょう。
会社員として働くと多くの人が加入することになるのが「社会保険」です。ここでいう社会保険は主に健康保険と厚生年金保険の2つを指します。
保険料は会社と本人が半分ずつ負担する仕組みで毎月の給与から天引きされます。「引かれている金額、正直よく分かっていない」という人も多いのではないでしょうか。
社会保険に加入していると将来受け取る年金額が増えるほか、病気やけがで働けなくなった期間の生活を支える「傷病手当金」なども受け取れます。単なる天引きではなく将来や万が一のときの備えになっている制度と言えます。
転職のときに気をつけたい、社会保険の落とし穴
社会保険料は日割りではなく月単位でかかります。この仕組みが転職のときに思わぬ落とし穴になることがあります。
例えば前の会社を月末近くまで在籍し退職前に転職先へ入社してしまうと、同じ月に2つの会社で社会保険の加入要件を満たしてしまうケースが出てきます。この場合、前職と転職先の両方で保険料がかかる「二重加入」の状態になります。
二重加入になった場合は「二以上事業所勤務届」を自分で年金事務所に提出する必要があります。この届出をすると2つの会社の給与を合算した金額をもとに保険料が再計算される仕組みです。届出をしないままだと、収入水準によっては想定より多く保険料を払い続けてしまう可能性があるので注意しておきましょう。
また賞与にかかる保険料も月末に在籍しているかどうかで扱いが変わります。転職を考えるときは退職日や入社日のタイミングも意識しておくと安心です。
日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」/日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」/東洋経済オンライン「転職時、知らないと損する「社会保険の超常識」」
2026年10月、「106万円の壁」がなくなります

ここからは、これから変わる制度の話をしていきます。まず大きいのが「106万円の壁」の撤廃です。
これまでパート・アルバイトで働く人が社会保険に加入する目安として意識されてきたのが「年収106万円(月額8.8万円)」というラインです。この賃金要件が2026年10月に撤廃される予定になっています。
背景にあるのは最低賃金の上昇です。厚生労働省によると全ての都道府県で最低賃金が時給1,016円を超えたことで、週20時間以上働けば自動的に月額8.8万円を超える水準になりました。そのため「106万円を意識して働く時間を調整する」という発想自体が今後は必要なくなっていきます。これからは「週20時間以上働くかどうか」が社会保険加入のシンプルな目安になります。
厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」/厚生労働省「適用拡大Q&A」
2027年10月から、企業規模の壁も段階的になくなります
もう一つ押さえておきたい変化があります。これまでパート・アルバイトが社会保険に加入するかどうかは「勤め先の従業員数が51人以上かどうか」も条件の一つでした。この企業規模の要件が2027年10月から段階的に縮小していきます。
厚生労働省の資料によると、対象となる企業規模は2027年10月に36人以上→2029年10月に21人以上→2032年10月に11人以上と広がり、2035年10月には企業規模を問わず対象になる予定です。10年かけて少しずつ対象が広がっていくイメージです。
ここで気になるのが鳥取県・島根県で働く人にとっての影響ではないでしょうか。中小企業庁の調査によると鳥取県の企業の99.9%(14,623社/14,641社)、島根県の企業の99.9%(19,550社/19,572社)が中小企業に当たります。全国平均の99.7%と比べても高い水準で、鳥取県・島根県の雇用の多くを中小企業が支えていることが分かります。つまりこの制度改正は県内で働く人にとって「いつか誰かに起こること」ではなく「近い将来、自分の勤め先にも関わってくるかもしれないこと」だと言えそうです。
厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」/厚生労働省「適用拡大Q&A」/中小企業庁「都道府県・大都市別企業数、常用雇用者数、従業者総数」
社会保険に入ると、暮らしはどう変わる?
「保険料が引かれる=損」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、社会保険への加入にはメリットもあります。
厚生年金に加入すると基礎年金に上乗せする形で厚生年金を一生涯受け取れるようになります。健康保険に加入していれば病気やけがや出産で働けない期間の収入を補う給付も受けられます。将来ともしものときの両方に備えられる制度と言えます。
また新たに社会保険の対象となる短時間労働者を支援するため、従業員50人以下の会社などを対象に保険料の負担を軽くする3年間の措置も用意されています。制度が変わる過程でも急な負担増を和らげる工夫がされています。
まとめ
社会保険は「よく分からないまま引かれているもの」ではなく転職やこれからの働き方を考えるうえで知っておきたい制度です。2026年・2027年と続く制度改正は鳥取県・島根県で働く一人ひとりの手取りや暮らしにも関わってくる可能性があります。
これから鳥取県・島根県での就職や転職、Uターン・Iターンを考えている人は求人の条件だけでなくこうした制度の変化も踏まえて次の一歩を考えてみてください。「鳥取・島根求人ドットコム」では地域の求人情報とあわせて働き方に関する相談も受け付けています。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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