退職して夫や妻の扶養になる☆配偶者の社会保険に入るには?

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2020年5月29日に成立した年金制度改正法によって、社会保険の適用範囲が拡大されました。

働いていた人が退職して配偶者の扶養に入る場合、自分は扶養に入れるのか、扶養に入る条件はどんなことなのか…わからないことも多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、配偶者の扶養に入る際に必要な要件や手続き、わからないことの多い扶養に関する質問の回答をご紹介します。

知っておかないと損をしてしまうこともあるので、ぜひチェックしてください。

 

この記事の目次

そもそも扶養とは?扶養には2つの種類がある

配偶者の扶養に入る2つの要件

配偶者の扶養に入るために必要なモノ

退職して配偶者の扶養に入るときによくある質問

まとめ

 

 

そもそも扶養とは?扶養には2つの種類がある

会社を退職して配偶者の扶養に入る…当たり前のように使われている語句ですが、そもそも扶養には種類があることをご存知ですか?

税法上の扶養と社会保険上の扶養、2つの扶養に関する定義を解説します。

 

税制上の扶養


税制上の扶養には以下のものが該当します。

  • 所得税・住民税などの控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除

主に家計を支える納税者の配偶者・子どもなどの年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入なら年間103万円以下)の場合、納税者の所得から一定の金額を控除することが可能な制度になります。

納税者と生計を一つにしていることが条件ですが、配偶者は配偶者控除、子どもや親の場合は扶養控除の対象となり、納税者の負担が軽減される制度です。

 

社会保険上の扶養

社会保険上の扶養は、税制上の扶養と条件が異なります。

  • 扶養対象となる収入は年間130万円
  • 被保険者の配偶者、扶養者の3親等内の親族(内縁関係含む)

配偶者や子どもの場合、年収が130万円未満かつ被保険者の収入の2分の1未満であることが被扶養者として認められる条件です。

130万円以上の収入がある場合には、勤務先の健康保険や国民健康保険に加入する必要があります

 

 

配偶者の扶養に入る2つの要件

配偶者の扶養に入る人を被扶養者と呼びます。

退職をして配偶者の社会保険に加入するには、被扶養者の条件があり、しっかりと理解しておくことが必要です。

社会保険に加入できる要件の重要なポイントを2つピックアップしてご紹介しましょう。

 

被扶養者の収入要件


社会保険の被扶養者には、収入の用件が定められています。

  • 同居の場合:年収130万円未満・被保険者の収入の半分未満
  • 別居の場合:年収130万円未満・被保険者からの仕送り額未満
  • 60歳以上・障がい者などの場合:年収180万円未満

ここで注意したいのは、退職後に受給することになる失業手当です。

社会保険の収入には、失業手当・公的年金・傷病手当・出産手当など非課税の収入も含まれます

会社を退職したからといって、必ずしも被扶養者になれる条件に合致するとは限らないことを覚えておきましょう。

 

被扶養者の同一世帯要件


社会保険には被扶養者の同一世帯要件というものもあります。

配偶者であれば扶養者と同居していなくても、社会保険への加入は可能です。

  • 同居していなくても加入できる人:配偶者(内縁含む)・子・孫・兄弟姉妹・父母・祖父母
  • 同居が必須条件である人:①以外の3親等内の親族・内縁関係の配偶者の子や父母

扶養に入れるか否かは、収入要件と同一世帯要件の双方に該当することが条件になります。

該当せず会社を退職してしまった場合は国民健康保険に加入しなければいけなくなるので、あらかじめ配偶者の勤務先の社会保険に関する情報を確認しておきましょう。

 

 

配偶者の扶養に入るために必要なモノ

配偶者の扶養に入るためには、手続きが必要です。

退職をした時点で必要なモノを準備し、手続きを行いましょう。

 

扶養に入る手続き


扶養に入る手続きは、原則として扶養者が勤務する会社が行います

手続きとしては、扶養者が勤務する会社が必要な書類を教えてくれるので、まとめて会社に提出すればOKです。

扶養に入る人の状況によって必要な書類なども異なりますので、『退職して扶養することになった』ことを早めに担当者へ伝えてください。

 

扶養に入るために必要な書類


扶養に入るために必要な書類は、一般的に以下のようなモノです。

  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 健康保険証(扶養者分)
  • マイナンバー確認書類(扶養者分と被扶養者分)
  • 続柄確認のための書類(被保険者の住民票など)
  • 収入要件確認のための書類  など

中でも条件によって異なるのが、収入要件確認のための書類です。

会社を退職して配偶者の扶養に入る場合は『退職証明書または雇用保険被保険者離職票』のコピーが必要になります。

また失業手当の受給中・受給終了後に扶養に入る場合は『雇用保険受給資格者証』のコピーが必要です。

多くのケースでは、扶養者の会社から必要な書類の提出を求められるので、その指示に従うことになります。

 

 

退職して配偶者の扶養に入るときによくある質問

『税制や社会保険など公的な手続きはどうも苦手だ』『説明を読んでみたけれど今一つ理解ができない』という人は少なくないはずです。

ここでは会社を退職して、配偶者の扶養に入る条件などについての質問をピックアップします。

 

退職までに年収130万円を超えていますが健康保険の扶養に入れますか?


健康保険の扶養に入る際の収入要件は、税制上の扶養とは基準が異なります。

所得税法上の基準は1月~12月の年間収入で判断しますが、健康保険の場合はこれから1年間の収入見込みによって判断します。

つまり退職した後の収入が判断の基準となりますので、退職後の収入が条件に該当すれば扶養に入ることができます

 

失業保険を受給した場合は扶養に入れますか?


一般的に失業保険の受給中は扶養には入れませんが、失業手当の金額によっては扶養に入れるケースもあります

待機期間や給付制限期間中は扶養に入れるので、順序としては

①退職 ⇒ ②いったん扶養に入る(待機期間・給付制限期間) ⇒ ③失業保険の受給開始 ⇒ ④扶養から外す

という手続きが必要になります。

 

健康保険の扶養は加入日をさかのぼれますか?


健康保険の扶養は、加入日をさかのぼることはできません

健康保険の場合は、手続きを行った上で認定を受けた日から扶養として認められることになるからです。

手続きするのを忘れた…という場合でも認められませんので、忘れずに申請の手続きを行いましょう。

 

退職した妻を扶養に入れたら社会保険料は上がりますか?


上がりません

社会保険料は被扶養者の人数で算出されるのではなく、標準報酬月額という仕組みで計算されているからです。

標準報酬月額は扶養者の給料の額で計算されるので、扶養する人数が増えたとしても社会保険料が上がることはありません。

 

被扶養者と認定されるためには収入には非課税の収入も含まれますか?


含まれます。

健康保険における収入の概念は『生活に充当できるすべての収入』となっています。

  • 障害年金や遺族年金などの公的年金
  • 失業手当
  • 傷病手当
  • 出産手当

なども収入とみなされます。

所得税法上では非課税となっている収入も合算されるので、注意が必要です。

 

退職してフリーランスになった配偶者は扶養に入れませんか?


結論から言うと、絶対に入れないわけではなく収入によります

フリーランスと個人事業主は開業届を出しているかどうかが異なる点。

個人事業主であれば国民健康保険に加入しなければいけません。

フリーランスの場合は月収10万8,000円以下、年収130万円以下であれば配偶者の健康保険に加入することは可能です。(※配偶者の健康保険組合に確認が必要)

税法上の扶養に関しては、フリーランスには65万円の給与所得控除がありません。

しかし青色申告を行えば青色申告特別控除(65万円)が受けられるので、103万円まで収入があっても扶養に入ることは可能です。

青色申告者は扶養に入れないということはありません。

 

 

まとめ

退職して配偶者の扶養に入るには、さまざまな条件があります。

扶養には税制上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があることを理解しておきましょう。

健康保険の場合はさかのぼって加入することができませんので、早めの手続きがおすすめです。

必要な書類は被扶養者となる人の状況によって異なります。

扶養者となる人の会社が手続きを行ってくれるので、申請を忘れないようにしましょう。

 

 

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